Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
モルモットは味覚嫌悪を観察学習することが出来るのかどうかを検討するため、モルモットは視覚的な手がかりを利用して味覚嫌悪を学習することが出来るのかどうかを確かめる実験をおこなった。被験体として、モルモットのHartley系統とStrain2系統を用いた。予備実験の結果から、色が付きやすくモルモットの好む餌としてチーズを用いた。3mm角に切ったチーズを食紅で赤または青に染め、それぞれの色の付いたチーズを摂取して中毒症状を起こしたモルモットが、以後その色のチーズを選択的に避けるようになるかどうかを調べた。Hartley系統は、実験開始前までのドライブの調節が難しく、急激な食餌制限(1日約3gのチーズを4日間継続)に耐えられない個体も多く、実験は上手くいかない場合が多かった。ただし、赤色のチーズを摂取して中毒症状を起こした個体が、赤色チーズと青色チーズとの選択場面で選択的に赤色を避けることを示すケースは見られた。一方、Strain2系統は、急激な食餌制限に対して耐性はあるが、新奇忌避傾向がHartleyよりも強く、特に塩化リチウムを腹腔内注射され中毒症状を起こした個体は、テストではチーズを色に関係なくほとんど摂取しない傾向にあった。また中毒症状の経験のないStrain2系統は、赤色チーズよりも青色チーズの方を多く摂取する傾向が見られた。このことは、Strain2系統が少なくとも食物の色を手がかりに食物選択をすることが出来ることを示している。しかし、色を手がかりに味覚嫌悪を学習できるかどうかについては確かな証拠が得られなかった。モルモットは視覚が比較的発達しており、赤色の瓶から溶液を摂取した後に中毒症状を経験すると、その後赤色の瓶から溶液を摂取することを避けるようになることが先行研究で報告されている。しかし昨年度同様、今回の研究でもそれを裏付ける確かな証拠は得られなかった。