Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
研究代表者はこれまでの研究で,言語情報を一時的に保持するシステム,音韻ループのメカニズムを検討してきた.それらの研究成果をふまえ,言語のリズムのようなプロソディー情報は音素とともに音韻ループに保持されると仮定し,本研究では,リズム・パターンの記憶と音韻ループの関係を多変量解析により検討した.具体的には,まず,リズム・パターン記憶の実験パラダイムを確立した.これは,コンピュータによって生成されたリズム・パターンを,被験者に聴覚的に提示し,そのリズム・パターンをキーボード入力で再現させるというものである.再生された24種類のリズムを絶対基準および相対基準により評価し,実験1では57人の被験者から,実験2では36人の被験者からリズム再生の得点を得た.リズムの再生成績が視覚呈示および聴覚呈示の数唱範囲課題(音韻ループの機能を測定する)の得点と有意な相関を示すことを確認した後,同じく数唱範囲と相関を示す読み速度を含めて重回帰分析を行った.その結果,リズム・パターンの記憶成績と読み速度は,それぞれ独立に数唱範囲の成績を予測するということが示された.音韻ループの活動を妨害すると考えられている構音抑制課題とリズムの記憶課題を同時に遂行した時に,リズムの再生成績が著しく低下するという結果はすでに得られており,そこからは,リズム・パターンの短期的保持を求める課題では音韻ループの特に構音コントロール過程が重要な役割を担うと結論されていた.ところが,構音コントロール過程の機能の個人差を測定していると考えられている読み速度が,リズムの記憶成績と数唱範囲得点の間の相関とは独立しているということが示されたことから,リズム記憶と音韻ループの相関は音韻ループの第3の構成要素である文脈層(タイミング・メカニズム)に媒介されている可能性があると結論された.
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