早期母子相互作用における母親の調律行動と乳幼児の人格形成〜就学時の性格特徴及び1年後の学校適応〜
Project/Area Number |
11710072
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
教育・社会系心理学
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (10254129)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 情動調律 / 母子相互作用 / CAT / 縦断的研究 / 調律行動 / 過剰調律 / 自我発達 / 対象関係 |
Research Abstract |
本研究は、生後1カ月から3年間縦断的に母子相互作用場面を観察した、母子15組についての追跡調査である。6歳時点の幼児のパーソナリティ発達とさらに就学1年目の集団適応などに関して、検討することを課題とした。 15組の母子は、これまでの調査から、相互作用場面に起こる情動調律の特徴の違いによって、コミュニオン調律群、過剰調律群、過少・誤調律群の3群に分類されている。人生早期に母親との相互作用で体験した情動調律体験の質的な違いが、その後の人格発達に影響を及ぼすという、諸説を検証するために、子の6歳時点で、子へのインタビューと、CATなどの人格投影法を実施した。さらに、初対面の見知らぬ成人男性との自由遊びを導入し、幼児のとる対人交渉能力を検討した。 結果は、CATでは、形式分析・内容分析共に3群間で違いが見られた。コミュニオン調律群では、この時期に適応的な自己中心性、万能感のある自己像の形成がうかがわれた。過剰調律群では、万能感はさほど高くなく、現実的な自己像の形成がおこっており、早熟な傾向にあるが、失敗をおそれ、自己評価が下がってしまうものもみられた。過少・誤調律群では、否定的な自己像と対象関係の発達状況の遅れが目立った。過少・誤調律群の情動調律を長期に渡って受ける子どもは、肯定的な自己像形成に至らず、対人機能も滞りがちであることが示唆される。 次に、個人の人格特徴を踏まえた上で、1年後の学校適応について、親および協力の得られた学校関係者(担任、養護教諭などに)インタビュー調査を行った。 調査対象児の学校適応は、おおむね良好であり、友人関係・学業など深刻な不適応をきたした児童はみられなかった。ただし、過少・誤調律群に1名、登校しぶりのみられるものがあり、担任からは、情動表出の乏しさ、友人関係での引っ込み思案などが、問題としてあげられていた。早期情動調律の体験の違いは、母子関係が優勢な時期には最も如実に相関があるが、年齢と共に直接の相関は見られなくなることを確認した。しかし一方で、事例的に詳細を検討する中では、早期母子関係における情動調律の質を、現在の友人関係の持ち方に再現させるかのような現象をとらえるにいたった。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)