Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
本研究の目的は、ともに市場経済体制への移行期にあるベトナムとラオスの両国において、社会体制の急激な転換に伴い、高等教育の機能がどのように変容しつつあるのかを比較考察することである。平成11年度はラオスの事例(ラオス国立大学)を中心に調査・考察を行った。平成12年度は、主にベトナム高等教育の動向を把握するため、2回の現地調査を行った。訪問先は、ハノイ市とホーチミン市の高等教育関係諸機関、国家図書館、政府機関等である。具体的には、両国の高等教育における、1.入学者選抜機能、2.管理・運営機能、3.教育機能、4.交際交流・協力機能、5.人材供給機能の5項目について検討した。これによって、ベトナムとラオスの共通点が下記のとおり明らかとなった。1.進学希望者の急増に伴って、高等教育就学者数は急激に増加しており、高等教育の門戸も以前よりもオープンになりつつある。各大学では定員を増やしたり、就学形態の多様化を図って、増大する教育需要に対応している。2.大学に対する中央政府の管理・監督権限は次第に弱まりつつあり、各大学では各種ビジネスや寄付金など、自主財源の確保が急務となっている。3.授業の形態は、いまだ伝統的な講義形式が圧倒的に多い。教師の授業負担は大きく、教室のインフラはおしなべて貧弱である。ティーチングをサポートする体制も整備されていない。4.かつての共産圏ネットワークが崩壊したことにより、各大学では欧米先進国及び近隣アセアン諸国との人材交流が活発化している。また、教育援助を得るために国際機関とのネットワークづくりにも積極的である。5.両国とも、大卒者の就職状況は良好とはいえない。現在の経済停滞が長引けば、近い将来、深刻な失業問題が発生する可能性が高い。早急な対策が求められる。専門分野によって、卒業生の就職需要に大きな格差が生じている。
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