英語における文主語の韻律・情報構造及び談話上の能格性の実証的研究
Project/Area Number |
11710266
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
英語・英米文学
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
熊谷 吉治 愛知県立大学, 文学部, 講師 (20242745)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 談話 / 能格性 / Preferred Argument Structure / 文アクセント / 文主語 / フォーカス / 語用論 / 韻律論 / 情報構造 / 項構造 / トピック |
Research Abstract |
本研究は、多量の言語資料を観察することにより、文法規則だけでは予測できない英語の規則性が見出されることを示したものである。特別な文化的知識を要しない無声映画を見た直後、その内容を語った20人の米語話者の発話記録を分析し、文のどの位置に新・旧情報の指示物が来るかを調査した。 その結果、新指示物は文の中に最大一つしか現れず、かつそのような指示物は他動詞主語ではなく、文末や自動詞の主語位置に置かれる傾向が高いことが判明した。従って、英語の自発的談話には特別な項構造(優先的項構造)が存在することが確認された。情報分布において他動詞主語が自動詞主語・目的語と対立することから、この現象は談話上の能格性と呼ばれる。文法的に対格を示す言語でも談話上の能格性が見出されることは、既にDu Boisの理論によって予想されていたが、まとまった資料に基づき、かつ能格言語と比較可能な形で実証した例はない。さらに、サカプルテック語との共通性だけでなく、自動詞主語の振る舞いについてはかなり大きな違いが見出された。 今回の分析結果を踏まえ、本研究はDu Bois理論の修正と新たな提言を試みる。Dixonの理論を元に、能格性・対格性はどの言語にも内在し、どちらも自動詞の意味的性質に帰すべきであると主張する。ただし、意味論的立場からしか能格・対格性を捉えていないDixonに完全に与するわけではない。なぜなら、意味論的特性が語用論的特性と密接に絡んでおり、むしろ語用論的特性のうち優勢なものが形態的格付与に影響を与えていると考えられるからである。 また、英語の場合、文アクセントが能格性を明示し得ることも指摘している。従って、言語研究の諸部門を切り離すことなく考察することが、能格性を理解する上で不可欠であることを論じている。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)