初期アメリカにおける訴答制度の変容と陪審の機能変化とに関する法制史研究
Project/Area Number |
11720002
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大内 孝 東北大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10241506)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | 訴訟方式 / 原告第一訴答 / 被告第一訴答 / 一般的否認訴答 / 特別棄却訴答 / contract / tort / 法決定権 / アメリカ法 / 陪審制 / ジョン・アダムズ / ボストン虐殺事件 / マサチューセッツ / 法曹一元 / 訴答 / プリーディング |
Research Abstract |
今年度は、前年度の成果であるところの、独立前夜アメリカにおける陪審の「法決定権」のあり方に関する後記論文を足がかりとして、さらに以下の事項を中心に検討した。すなわち、陪審の機能と密接な関係を持つ、訴答制度についてである。独立以前には、アメリカ法曹は、イングランド古来の訴訟方式に対応する、極めて形式合理的な訴答制度に忠実であろうとしていた。この状態が、独立後徐々に変化する。第一に、訴の実体に影響を及ばさない程度の、令状その他書類上の単純な誤記入が許容され、一概に訴却下事由としては扱われなくなる。第二に、原告第一訴答の形式が訴訟方式に必ずしも厳格に拘束されなくなり、これに対応するがごとく第三に、被告第一訴答の中の一般的否認訴答の形式もまた、原告第一訴答の形式に厳格に拘束されなくなる反面、特別棄却訴答の形式は原則として不使用に帰す。これらの、立法ないし一般的決定によるのでない、裁判実務上における漸次的変化が、一九世紀前半までには大規模に生じてたと認識しうる。このことは同時に、手続法中心であった従来の法というもののとらえ方が、何よりも実体を重視する実体法的とらえ方に、大きく転換しつつあることの一証左でもあると評価しうる。同時期に契約(contract)や不法行為(tort)という、訴答方式を超えた実体的法準則が大規模に発展したことは、これと表裏の関係にある。しかし他面、当時のアメリカ法曹は、この実体的法観念と、陪審の機能とを、相互の利点を損なうことなくしかも法的安定性を阻害せぬよう調整するという、困難な課題を背負うことになった。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)