Project/Area Number |
11720006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Fundamental law
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Research Institution | Aichi Gakusen University |
Principal Investigator |
村林 聖子 愛知学泉大学, コミュニティ政策学部, 講師 (10308801)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 寛容 / J.S.ミル / 法思想史 / 法哲学 / 19世紀 / イギリス |
Research Abstract |
本研究は、法思想史的考察と法哲学的考察とをフィードバックさせることにより、「寛容」を、従来の自由主義に対し新たな制度設計の可能性を与える概念としてとらえ、その社会的・制度的枠組みを検討するものである。平成12年度は、上記の二つの考察のうち、「寛容」概念の法哲学的考察を重点的におこなった。「多様性」は自由主義が主張してきたものの一つであるが、多文化主義は、中立性を制度設計の軸とする自由主義は個人とその個人からなる社会という前提を有し、この前提におさまらない者に対して暴力的であり、結果として多様性を保障していないと批判している。報告者は、平成11年度に行った法思想史的考察に基づき、多文化主義の諸文献を上記の自由主義批判という局面で整理し、Magic wordとなっている「寛容」概念の機能と射程を明らかにするために、背景となる問題状況の差異を明確にすることにつとめた。「一つの公共性を有する社会」を形成しようとするロック(John Locke,1632〜1704)と、個人の徳によっては「一つの公共性を有する社会」を形成することは不可能であると認識したミル(John Stuart Mill,1806〜1873)とでは、「寛容」概念の機能と射程が異なり、そこでの制度の目的もまた異なる。そして現代における様々な諸問題もまた「一つの公共性を有する社会」が可能であるのか否か、可能であるならばいかにして可能か、可能でないならばいかなる社会が成立しうるのかを論点として浮かび上がってきているのである。「一つの公共性を有する社会」をめぐる近代また現代の問題状況において、ミルが個人と個人の間、また個人と集団の間、そしてそれらと社会の間に様々なコミュニケーションを成立させるために「寛容」を主張し、制度を構想しているというその視点は再評価されねばならないと報告者は考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)