Project/Area Number |
11720017
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
International law
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
黒神 直純 岡山大学, 法学部, 助教授 (80294396)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 国際法 / 国際機構 / 国際公務員 / 行政裁判所 |
Research Abstract |
国際公務員の身分保障制度に関して、前年度から行ってきた国際行政裁判所の判例を整理検討する作業と併行して、国際公務員の身分保障制度上重要と思われる国連行政裁判所の制度改革についてフォローした。 国連行政裁判所規程11条に定める手続(「11条手続」)により、行政裁判所判決に不服な当事者-事務総長及び職員-並びに加盟国は、国内裁判所における上訴のごとく、国際司法裁判所に勧告的意見を要請することができる。この手続については、近年多くの問題点が指摘されるようになり、結局、同手続は、1995年12月に廃止された。 今年度は、特にこの11条手続の廃止という最近生じた問題を通じて国際公務員法の一端を考察することにした。まず、同手続の起草過程から、同手続が、憲章上の原則に反して、職員の勤務関係に対して加盟国に介入の手がかりを与えるものであったことが分かった。また、同手続の抱えた手続法上の問題点も併せて検討した。これらの点に鑑み、11条手続が廃止されたことは、職員の身分保障という観点から見れば大いに歓迎すべきことであったと結論づけられる。さらに近年の総会の動きの中に位置づけるならば、機構と職員との関係において、加盟国の不当な介入を避けようとする意識が国連全体に広まってきたようにも思われる。したがって、この11条手続の廃止という問題が、国際公務員制度に対する各国の現時点での認識の程度、ないしは、国際公務員制度の発展状況を示す一つの指標であったようにも考えられ、国際公務員の身分保障法たる国際公務員法を構築する上で大いに有意義であった。 この国連行政裁判所判決審査手続の廃止の問題については、平成13年2月に関西国際機構研究会(於京都大学)にて研究報告を行った。また、この研究成果として、「国連行政裁判所判決審査手続の廃止について」と題する論文を『岡山大学創立50周年記念論文集』(近刊)に発表する予定である。
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