Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
企業内における労働者代表の形態としては,労働組合と従業員代表とがある。両者は,その組織原理における任意的性格と強制的性格という点で区別される。ただ,日本の労働組合は,ユニオン・ショップ協定の有効性が認められていることから,その任意的性格が弱くなっており,そのことが日本の労働団体法理論に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。 企業内の労働者代表法制について比較法的検討を行うと,労働組合一元型と労働組合と従業員代表の二元型があることが明らかとなった。 まず一元型の国(米,英,伊)については,いかなる理由で,従業員代表が存在していないのか(存在しなくてすむのか),という点が問題となる。企業内においては,従業員統一的に決定すべき労働条件が少なくないし,安全衛生問題のような職場レベルで統一的に処理すべき事項もある。このような事柄については,非組合員も含めた全従業員の利益を,対企業との関係で代表するメカニズムが必要であるはずである。分析の結果,一元型の国では,労働組合が従業員代表としての機能を同時に有している場合が多いということが明らかとなった。特に,イタリアにおいて組合代表を従業員が信任するというシステムが採られている点は,日本の最近の労使委員会制度の設置とも関連して,参考になる点が大きいと考えられる。 二元型の国(仏,独)については,従業員代表法制は,労働組合の優越的地位を前提とし,かつ労働組合の法的地位を侵害しないように設計されている。日本のように企業別組合が中心の国では,労働組合の憲法上の地位を侵害しないように従業員代表制を立法構想することは容易ではない。
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