Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
|
Research Abstract |
本研究は,代数幾何と可換環論とりわけtight closure理論,あるいは標数0と正標数の世界における各々の理論の相互関係を,標数0からpへの還元等の翻訳手段を用いて記述し,応用することを目的としている.このことの一つの顕著な例として,論文'Geometric interpretaton of tight closure and test ideals'においては,標数0の正規Q-Gorenstein環のmultiplier idealが,標数p≫0への還元の後,test idealと一致することが証明された.この結果は,環のF-正則性と対数的端末特異点との対応を一般化するものと考えられるが,対数的端末特異点,対数的標準特異点の概念は,代数多様体とその有理係数因子の'組'(pair)に対しても定義することができる.そこで,これらの特異点に対応するべき正標数の環のF-正則,F-純の概念を,環AとSpec A上の有理係数因子の'組'に拡張して定義した.この'組のF-特異点'に対して,'組'の対数的端末特異点等において知られている諸性質と類似の性質が成り立つことを証明し,渡辺敬一氏(日大)との共著論文'F-regular and F-pure rings vs.log terminal log canonical singularities'にまとめた.この結果に関して,CIRM(フランス),タタ基礎研究所等において講演した.また,C.Hunekeにより定義されたstrong test idealの概念と,test idealとの一致の問題について,K.E.Smithとの共著論文'The strong test ideal'を執筆した.さらに'F-特異点'に関しては,考察する環の対象をRees環に絞ったときに現れる固有の現象に関して,吉田健一(名大),渡辺敬一両氏との共同研究が進行中である. 以上,tight closureあるいは正標数の問題との直接的な関係はないが,川内毅氏により定義された2次元正規特異点の不変量を,2次元有理特異点の局所環(A,m)の任意のGorenstein m-準素イデアルに対して拡張し,この不変量の評価と,有理特異点をもつ曲面の随伴束の高次埋め込みへの応用を試みた.
|