Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
ブラックホールを含む自己重力系ではその長距離相関のために熱力学において未解決の問題が指摘されている。例えば系を2つの部分系に分解した場合の熱力学的平衡の理解はまったく得られていない状況である。現実の天体系では全体としてはまだ十分に緩和過程は進んでいないが、特定の自由度に関しては緩和過程が独立に進んでいる可能性なども考えられている。このような長距離相関系に関しては通常のボルツマンギブスのエントロピーに基いた統計力学を適用することはできない。この場合にはq変形されたTsallisのべき関数的エントロピーが有用である可能性が最近盛んに述べられるようになった。このような流れの中、我々は異なるq指数をもつ2つの部分系の熱釣り合いを詳細に議論した。通常の熱力学で重要であったcomposabilityを拡張されたエントロピーに課した時、その関数は極めてその条件によって制限されることを指摘した。また釣り合い状態近傍、及び因子化された状態では確かにそのエントロピーは確率過程のマスター方程式に従って単調増加することも示した。Journal of the Physical Society of Japanに掲載されたものがその本論文であり、Chaos Soliton & Fractalsに掲載予定の論文がアメリカ、デントン大学での国際会議における発表報告となっている。
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