Project/Area Number |
11740194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
小林 義彦 電気通信大学, 電気通信学部, 助手 (60293122)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Keywords | 巨大磁気抵抗効果 / FeRh系金属間化合物 / メタ磁性転移 / ホール効果 / 熱電能 / 比熱 / 磁気構造 / フェルミ面変化 / 磁気抵抗 / 磁化 / フェルミ面 |
Research Abstract |
近年、スピン・エレクトロニクスの発展により、磁性と電気伝導との間に強い相関がある物性への関心が高まっている。本研究はその中の1つの典型として、金属間化合物FeRhにおける巨大磁気抵抗(GMR)効果をとりあげた。FeRhはメタ磁性転移を生じ、それに対応してGMR効果を示す物質として知られている。この物質は、Fe、Rhそれぞれ一層が交互に積層した、いわば自然界に存在する多層膜とみなすことができることからGMRの原因は人工格子と同様な伝導電子のスピン依存散乱であるという報告がなされている。しかし、FeRhは反強磁性物質であることから、メタ磁性転移にともない反強磁性ギャップの消失など、フェルミ面そのものに変化が現われることが予想される。このフェルミ面の変化がGMRの原因として主要な役割を果たしていると考えるほうが自然である。本研究ではFeRhの伝導電子の輸送特性、熱的物性を通じて、メタ磁性転移にともなうフェルミ面が変化が存在すること、また、それがFeRhのGMRの主たる原因であることを明らかにするために、磁化、磁気抵抗、ホール効果、熱電能、比熱の同一試料、同一条件における系統測定を行なった。以下に主な成果を示す。 ・メタ磁性転移にともない、ホール係数および熱電能はその絶対値だけでなく符号をも変えることが明らかになった。このことから磁気構造の変化がフェルミ面の変化を生じている事が示唆され、これがGMRの主たる原因であることを明らかにすることができた。 ・異常ホール効果を、二つの伝導電子左右非対称散乱機構(skew散乱およびside-jump散乱)による成分に分離することができ、それらの解析よりFeRhの磁性が遍歴電子によるものであることを明らかにした。 ・熱電能は絶対値が大きく、また、磁気転移にともない符号も反転することから、磁場、温度でその性能のスイッチングができる熱電素子への応用の可能性が提案された。 ・磁化、磁気抵抗測定から、2段のメタ磁性転移が明らかになり、約2〜3Tの磁場範囲に複雑な磁気構造を持った中間状態が存在することが分かった。 ・比熱および電気抵抗の温度依存性の結果より、約3Kに、フェルミ面の変化をともなう新しい磁気転移が存在することを発見した。
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