擬1次元π電子系に於けるバンド幅と電子数変化による相制御
Project/Area Number |
11740211
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
固体物性Ⅱ(磁性・金属・低温)
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
開 康一 学習院大学, 理学部, 助手 (00306523)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | NMR / ドーピング / 反強磁性 / 電荷秩序 / 有機電荷移動錯体 / DCNQI |
Research Abstract |
本研究は擬1次元電子系の形成する電子状態を、具体的には(DCNQI)_2Ag系の電子状態に注目し、1)バンド幅と2)バンド充填、を変化させることにより制御することを目的としている。以下、この2年間で得られた成果を列挙する。 バンド幅制御: 圧力下での(DI-DCNQI)_2Agの電子状態:常圧では室温以下絶縁体の(DI-DCNQI)_2Agに圧力を印可することによりその伝導性と磁性を測定した。5kbar以上の加圧により金属状態が出現することが明らかになった。温度を下げると金属絶縁体転移を示すが、その転移温度は圧力の増加とともに下がることを確認した。これは、圧力により分子間の重なり積分が増大し、電荷秩序の形成が抑えられているためと考えられる。また、5kbarの圧力下でのNMRの実験からは常圧で明瞭に観測された反強磁性転移が抑えられていることがわかった。これは電荷秩序の融解、または次元性の変化による磁気秩序の抑制との可能性があるが本年度の研究からは明らかにするには至らなかった。しかし、圧力で(DI-DCNQI)_2Agの電荷秩序相の制御に成功した。 また、DCNQI分子を装飾するハロゲン原子を系統的に置換することにより様々な有効化学的圧力を系に印可することを試みた。(DCNQI)_2Agとしては新物質である(DCI-DCNQI)_2Agの合成に成功した。 今年度の大きな成果としてはDCI-、DBr-、DI-の各DCNQI分子でそれぞれCl-/Br/I-NQRの観測に成功したことである。このことにより電子状態を電荷(が作る電場勾配)の揺らぎとして検出できる実験手法が確立した。 バンド充填変化: (DI-DCNQI)_2AgのAgを部分的にCuで置換した試料を合成し、電気抵抗の測定を行った。この効果は1次元バンドの充填を1/4から1/3まで連続的に変化させることに相当する。Cuの濃度が32%以下では系は絶縁体のままであるが61%以上では金属的に振舞う。部分的置換により金属状態が出現したこと自体は不自然なことではないが、両者の間の中間濃度領域で3次元のアンダーソン局在を強く示唆する電気抵抗の温度依存の振舞いが観測された。未だ、データの収束性に若干の問題はあるがgap的でない振舞いであることは確かである。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)