強相関系及びメゾスコピック系における低次元電子系の場の理論的研究
Project/Area Number |
11740227
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
物性一般(含基礎論)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 聡 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10263063)
|
Project Period (FY) |
1999 – 2000
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
|
Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
|
Keywords | 近藤効果 / ハバード・モデル / モット転移 / パイロクロア / スピン液体 / ベーテ仮説法 / 共形場理論 / 強相関電子系 / ハルディン・ギャップ / ドルーデ重み |
Research Abstract |
1.強相関電子系における非磁性不純物と近藤効果的振舞……酸化物高温超伝導体のような強相関系に、非磁性不純物を導入すると、その周りに局在磁気モーメントが誘起され、近藤効果的な振舞があらわれることが実験的によく知られている。その磁気的性質を理論的に調べるため、1個の非磁性不純物を含む、空間次元D=1,2,3のハバードモデルを調べた。1次元の場合には、不純物近傍で、スピン帯磁率と局所状態密度に発散的振舞があらわれることが示された。このことは、誘起された局所磁気モーメントは完全にはスクリーンされないことを意味している。他方、それにも関わらず、スピン格子緩和率はコリンハ則を満足することが示される。つまり、バルクで優勢な反強磁性的揺らぎが、非磁性不純物近傍で抑制されて、局所的なスピン相関によって、磁気的性質が決まるようになる。3次元の場合には、反強磁性スピン揺らぎが強い場合のフェルミ液体論を適用して解析を行なうことにより、非磁性不純物近傍において、バルクで発達している反強磁性スピン揺らぎが抑えられ、局所的なスピン相関が重要になり、コリンハ則が成立することが示された。 2.パイロクロア型ハバードモデルにおけるモット転移と重い電子系的振舞……幾何学的フラストレーションのある格子上で定義された電子系の強相関効果について、理論的に研究するため、パイロクロア格子上のハバードモデルを取り上げ、そのモット転移について考察した。3次元のパイロクロア型ハバードモデルについて、half-fillingの場合に、電子相関についての摂動計算を行うと、自己エネルギーの3次の項に発散異常があらわれる。この低エネルギーでの自己エネルギーの発散は、摂動計算の出発点である金属状態が不安定であることを意味し、1粒子のスペクトルにギャップが生じる。すなわち、系は無限小の相互作用によってモット転移を起こし、また、このモット絶縁体状態では、磁気秩序を伴わないspin singlet状態が実現していることが示される。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)