Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
磁場中の2次元有機伝導体における秩序状態を系統的に理解するため,伝導面に垂直な一様磁場中の正方2次元拡張Hubbardモデルを取り上げ,磁場中での結晶対称性を厳密に考慮した状態の分類を行い,可能な全ての平均場を取り入れた,初めての自己無撞着な数値計算を行った。 この中で特に引力(on-site)Hubbardモデルについて,スピン回転については全対称性を持つs波的な正方渦糸格子状態に関しては,次の結果を得た。(1)この対称性の下で許される秩序状態は,本質的に4種の異なる対称性を持つ渦糸格子と電荷密度波(CDW)の共存状態である。(2)各対称性に属する状態の中にも磁束の貫入位置により多様性がある。(3)1格子当りの電子数1,電荷分布一様の場合には,(正方)Abrikosov格子が最安定である。(4)しかし,他の対称性を持つ準安定な自己無撞着解も存在し,極端条件下ではこれらが安定化する可能性を示唆する数値結果を得た。(5)モデルの性質上,CDWが共存する,より安定な状態が存在するが,これについては,物理的検討が必要である。(6)1格子当りの電子数が1ではない場合も,Abrikosov格子状態が最安定であるが,この場合,渦糸格子状態の出現に伴って必ずCDW(電荷変調)が生じる。(7)各状態の準粒子エネルギーバンドを調べ,1格子当りの電子数が1でありかつ電荷分布が一様であるAbrikosov状態では,フェルミ準位にギャップのない状態となるが,その他の状態ではフェルミ準位にエネルギーギャップを持つことを示した。また,実験と直接比較し得る物理量として,局所的状態密度を得た。 また,spin-triplet状態を調べるために,最近接強磁性交換相互作用を取り入れ,10種類の可能な渦糸格子状態を得た。これらの数値的結果を得るには至っていない。
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