Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
電子・振動相互作用は,共役π電子系の分子振動を扱う際に最も重要な問題の1つである。近年においては,電子相関の効果を取り入れた電子波動関数を用いて,共役π電子系の分子振動を数値計算できるようになり,電子・振動相互作用の定量的評価という点に関しては,解決の方向に向かっている。しかし,共役π電子系における電子-振動相互作用に対する理解を深めるためには,振動力場(スペクトルの横軸)のみではなく,赤外・ラマン強度(スペクトルの縦軸)にも注目する必要がある。また,共役π電子系分子が持つさまざまな光学的性質に対する分子振動の寄与を考察する際にも,電子・振動相互作用に対する理解が重要な鍵になる。本研究では,このような考察に基づき,平成11年度に引き続いて以下の2点について研究を行った。 (1)赤外・ラマン強度に関係した,分子振動に伴う電子構造変化の解析 平成11年度までに考案・拡張した理論手法・モデルを総合的に適用して,chrysene radical cationなどの大きな共役π電子系分子について,主に赤外強度に関係した電子構造変化を理論的に検討した。その結果,これらの分子系における電子・振動相互作用の様子を明確にすることができた。 (2)共役π電子系のさまざまな光学的性質と電子・振動相互作用の関係の解析 共役π電子系分子が持つさまざまな光学的性質を記述するのに重要な,超分極率に対する分子振動の寄与を検討するために考案した,intensity-carrying modesの理論を用いて,レチナールシッフ塩基などの分子を例とした理論的解析を行った。電子構造の違いによる非線形光学的性質の相違について,典型例を基準とした分類わけの指針を得ることができた。
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