Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本研究では,生体内の酸化還元反応(電子移動反応)のモデル化と機構解明を目的として,新規水溶性セレン試剤の開発とそれを用いたタンパク質のフォールディング実験を計画した。平成11年度は当初計画に従い,独自に合成した5員環セレニドと6員環ジセニド(DTTのセレン類似体)の化学的性質を明らかにするとともに,X線構造解析を行い,分子構造の特徴を明らかとした。平成12年度は主として,合成した新規水溶性セレン試剤を用いてタンパク質との反応を検討した。分子内に4つのジスルフィド結合をもつウシ膵臓リボヌクレアーゼAを用いたフォールディング実験の結果,セレン試剤のもつ優れた酸化能力(高反応性,高選択性,広いpH適用範囲)が明らかとなった。セレン試剤の酸化能力は当初の予想を遙かに超えるものであった。このことは,セレン試剤を用いて生体反応を制御したり生体反応の機構を解明したりするアプローチが大変有効であることを示唆している。今後,このような観点からの研究を更に発展させていきたいと考えている。得られた研究成果は,速報と本論文としてしてまとめた[Chem.Lett.,1400-1401(2000);Heteroatom Chem.,in press(2001)]。また,新規セレン化合物の特許申請も行った(特願平11-241686)。さらに,研究遂行の過程で見出した新たな知見を基に研究を展開し,タンパク質の立体構造安定化因子としてのS…O相互作用の同定や[Chem.Lett.,132-133(2001)],結晶中の格子エネルギーの定量解析[J.Organomet.Chem.,611,164-171(2000)]なども行った。
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