超音波照射により生体内での分子集合を制御する新機能分子の開発
Project/Area Number |
11740348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
宗宮 創 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (80211324)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | ソノケミストリー / 超音波 / チオール / ジスルフィド / DNAインターカレーター / アクリジン |
Research Abstract |
本研究では、超音波照射をトリガーとした生体内での分子集合制御を行う新機能分子の開発を目的とし、本年度は以下の成果を得た。 1.含水イソプロパノール中でのチオール官能基の超音波反応機構の解明:超音波照射下での新機能分子の化学的挙動を予測するため、従来報告例のほとんどない水溶液中でのチオールの超音波化学反応の解明を前年度に引き続き行なった。その結果、次の全く新しい知見を得た。 (1).アルカンチオールは、水-イソプロパノール混合溶媒中、水の含量60%程度以上のエマルジョン条件下で、その超音波分解反応が著しく加速される。また、同じアルカンチオールでも、ヘプタン及びヘキサンチオールの様な沸点の低いアルカンチオールの方が、デカン及びドデカンチールの様な沸点の高いチオールよりも大きく加速された。これは超音波のキャビテーションが、エマルジョンとなったチオールの油滴を核として効率良く発生し、気化しやすいチオールほど分解も起こりやすいことを示唆している。 (2).アリルチオールはアルカンチオールに比べ、超音波照射下で分解しにくく、むしろジスルフィドの生成が起きる。しかしエマルジョン条件下でも、アルカンチオールの様な消失量の加速は見られず、水分量の増加とともに漸増するのみである。このことから、アルカンチオールにおける消失速度の急激な増大は、分解反応の加速に起因することが明らかである。この知見は、アルカンチオールでもあるタンパク質中のシステインの超音波照射による化学損傷機構に関する重要な知見である。 2.アクリジン及びピリジン環に二つのアルキルチオール側鎖を組み込んだ新機能性分子の合成:ジアミノアクリジンを用い、末端にチオール官能基を持つ側鎖或いは骨格を導入した新機能性分子の合成的研究を行った。水溶液系での使用を考慮し水溶性を保つには、アミド結合を用いて各部分を結合する合成法が有効であることが判明した。その知見に基き、ジアミノアクリジンにドデセニルクロリドをアミド結合させ、更にチオ酢酸を末端に付加させた後、加水分解する経路で合成に成功した。同様に母核としてジアミノピリジンを用いて、二つの長いアルキルチオール側鎖を持つ超音波機能性分子を合成した。以上の成果により、新機能分子の合成開発の手法が確立された。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)