超高真空下における新規フラーレン化合物の合成とその反応機構に関する研究
Project/Area Number |
11740396
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
機能・物性・材料
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 秀樹 理化学研究所, レーザー反応工学研究室, 研究員 (40312251)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | フラーレン / C_<60>-Si混合薄膜 / X線光電子分光法 / XPS / FT-IR / その場観測 / 反応機構 / 重合反応 / フラーレン超薄膜 / C1sスペクトル / Si2pスペクトル / Si微粒子 / 半経験的分子軌道法 / C_<70>蒸発源 |
Research Abstract |
アルカリ金属をドープしたフラーレンにおいて高温超伝導が発見されて以来、フラーレンを骨格にもつフラーレン重合体あるいはヘテロ原子と結合したフラーレンの示す特異な物性が新世代材料として注目されている。しかしそうしたフラーレン化合物の効率的な合成法は未だ確立されていない。本研究では、フラーレンの超薄膜化技術を利用した新規フラーレン化合物の合成法の確立、およびその反応機構の解明を目指す。 平成12年度は、反応の"その場"観測装置を立ち上げ、測定結果の定量的解析によるフラーレン薄膜内反応の反応機構の解明を行った。具体的には、(1)C_<60>薄膜内反応のその場観測、および(2)C_<60>-Si混合薄膜内反応のその場観測を行った。またこれと平行して、(3)非対称型フラーレン,C_<70>,の反応への応用の検討も行った。(1)の研究においては、低エネルギー(1keV)電子線衝撃によるC_<60>重合体生成反応の反応速度定数をin situ FTIR測定による実験から求めた。その結果、重合反応は照射量に対して非線形的に進行することを見いだした。また(2)の研究においては、C_<60>と原子状Siの混合により高効率にて反応錯合体が形成されることを見いだした。実際、C_<60>に対し4倍量のSiを混合した薄膜においてほぼ100%の反応生成物が観測された。一方、(3)の研究においては、フラーレンの非対称型化による著しい反応効率の低下が観測された。これは反応に主として関与するフラーレン上の6/6結合部の電子密度が、非対称化により低下することに起因すると考えられる。以上、本研究から、反応はフラーレンを介した電子の授受によって引き起こされること、原子状Siとの混合状態の生成が新規フラーレン合成には重要であること、の知見を得た。
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)