Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
1.イオン選択性電極(ISE)は、その優れた特性により既に臨床分析に用いられているが,イオン感応膜の支持体として一般的に用いられているポリ塩化ビニル(PVC)が生体適合性に乏しいために問題が生じる。本研究では,臨床分析に使用可能な生体適合性をもつISEの開発を目的として,生体適合性をもつリン脂質高分子をイオン感応膜の表面に修飾し,それを用いて作製したISEのセンサー特性を評価した。さらに,そのISEを用いた生体試料の測定,抗血栓性についても検討した。 2.生体適合性材料としては,昨年度検討したリン脂質部位を含む,2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリンとメタクリル酸エステルとの共重合体を用いた。また,PVCを支持体とするイオン感応膜としては,カリウムイオン選択性をもつバリノマイシンの液膜(膜溶媒はセバシン酸ジオクチル)を選んで検討した。リン脂質高分子は,0.5wt%のエタノール溶液に,あらかじめ作製したイオン感応膜を浸漬後乾燥して被覆した。また,抗血栓性は,ウサギの血小板を多く含む血漿(PRP)に浸して,表面の様子を走査型電子顕微鏡で観察することで検討した。 3.リン脂質高分子で被覆したイオン感応膜は,被覆していない膜と同様の電位応答の傾き,妨害イオン(ナトリウムイオン)に対するカリウムイオン選択性,応答時間を示し,センサーとしての性能は損なわれていないことがわかった。そして,血清中のカリウムイオンの濃度を定量することが可能であった。また,リン脂質高分子で被覆していない膜をPRPに浸すと,膜表面に血小板が多く付着しているのが観察されたが,被覆した膜は,血小板の付着する割合が明らかに減少しており,リン脂質高分子による被覆で,抗血栓性が向上したことがわかった。
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