Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
クラッチ内の子供間に(親の投資に先立つ)「質」の変異が存在する場合,すべての子供に平等に投資することは親の適応度を最大にしない(不平等な親の投資仮説:Temme,1986;Haig,1990)。親がクラッチを体で覆う姿勢で保護する亜社会性昆虫では,クラッチ周辺部の死亡率が必然的に高くなるため,そこに位置する子供に投資を控えるかも知れない(Mappes et al.,1997)。本年度は,昨年度に続きツノカメムシを用いてクラッチ内部の卵サイズ変異の存在を調査した。野外から卵塊を採集し,卵塊の周辺部に位置する卵と中央部に位置する卵重量を測定,クラッチ単位に対比較した。その結果,アカヒメツノカメムシを始めとした亜社会性ツノカメムシ4種では,一貫して,クラッチ周辺部に位置する卵が中心部に位置する卵よりも有意に小型だった。しかし,保護習性を持たない近縁種であるベニモンツノカメムシでは,卵サイズにその様な差は認められなかった。この結果は,亜社会性ツノカメムシで見られたクラッチ内部の卵サイズ変異が,不平等な親の投資の結果であることを支持している。Oikos誌上で,この研究成果を発表した(Kudo,2001)。 さらに,異なるタイプの「不平等な親の投資」と考えられる,ミツボシツチカメムシの栄養卵生産に関しても研究が進んだ。本種の雌親は,受精卵をボール状に産んだ後,栄養卵を徐々に産み足していく(Nakahira,1994)。この栄養卵は孵化幼虫の餌として機能し,食卵によって孵化幼虫の発育・生存が高まることが,栄養卵の除去実験によって一部実証された。また,栄養卵の投資率(受精卵当りの栄養卵数)が雌間でかなり変異することが判明し,この栄養卵の投資率を左右する要因も一部明らかとなった。
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