Research Abstract |
平成12年度は,磁性流体に混入した砥粒が工作物表面を高速流動して加工作用に関与する際,砥粒の加工力を増大できる実験装置に改良した.改良後の装置を用い,昨年度に引き続いて板状工作物を用いた加工実験を行い,加工特性を詳細に明らかにした.以下に,具体的内容を示す. 1.実験装置および工作物固定用ジグの改良 磁性流体と砥粒の混合液は,容器外部を回転移動する磁場に対して磁力追従することにより容器内を流動し,工作物表面を加工する.したがって,磁性流体に混入した砥粒の加工力を大きくするには,混合液の磁力を増大し,外部磁場への追従性を高めて流動速度を向上させることが得策と考えられる.そこで,磁場発生源となる永久磁石を4倍に増設し,N-S対磁極配置を採用した.これに伴い,混合液の流動軌跡を妨げない位置に工作物を固定するための専用ジグを開発した. 2.板状工作物に対する加工特性の解明 当初の予定では,板材にマイクロドリル加工したときに発生する微小バリを加工対象としたマイクロバリ取り実験を実施することになっていた.しかし,改良後の装置の加工性能が不明なことから,マイクロバリ取り実験の前段階として鏡面仕上げされたC3604黄銅板状工作物(0.04μmRy)を準備し,磁性流体に混入したWA砥粒の粒径および砥粒の磁性流体への混合割合が加工特性に及ぼす影響を明らかにした.その結果,砥粒径と工作物表面に存在する微小凹凸の間隔,深さの関係により,表面創成機構が異なることを明らかにした.さらに,本加工法では,上述のパラメータ以外に,砥粒の自重が加工特性を左右する主要な因子になることを明らかにした.なお,初期表面粗さが0.10μmRy程度の粗面に対しても同様の実験を行い,本加工法の表面平滑化能力についても明らかにした. 3.研究成果の公表 本研究成果は,日本機械学会2001年度年次大会(平成13年8月)にて発表予定である.
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