Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
ダイヤモンド状炭素膜(DLC膜)は,優れた耐摩耗性・硬さ・平滑性を有し,しかも低い基板温度で合成することができるので,保護膜として最近飛躍的に利用範囲が拡大している.しかし,現在用いられているDLC膜は機械的な性質は十分であるが,耐熱等の耐環境性に問題がある.本研究は,焼結ダイヤモンドをターゲットに用いたスパッタリング法を開発し,高品質なダイヤモンド状炭素膜を合成してその耐環境性を評価するものである.本年度は,第1年度に明らかにした焼結ダイヤモンドを用いた合成法をもとに,ダイヤモンドとc-BNを混合させた粉末を原料としたターゲットを用いてB-C-N系の膜を作製し,耐環境性の向上を図った. まず,ダイヤモンドとc-BNを混合させた粉末をターゲットとして13.56MHzの高周波を用いたスパッタリング法によりB-C-Nからなる薄膜を合成した.反応ガスには窒素を用いた.また,ダイヤモンドとc-BNの混合比を5:5からc-BNの多い2:8まで変化させて合成実験を行った.まず基板に印加するバイアス及び水素量の膜質への影響を調べた.ターゲット組成比が2:8の場合,膜の硬さは水素量が増加するにつれて増加し,水素流量が窒素流量の2倍の20cc/minのときに最大となった.そして,この水素流量時に基板バイアスを-50Vとすることによって硬さ15GPaの膜が得られた.さらにこの膜についての耐熱性を検討するために,大気中で加熱した後にナノインデンターによる硬さ試験及びボールオンディスクによる耐摩耗性試験を行って,その耐摩耗性を評価した.その結果,500℃の処理後ではDLC膜が完全に消失していたのに対し,試作したBCN膜はステンレス鋼に対する摩擦係数がわずかに増加したが,膜の重量は減少せず,硬さも変化しなかったことから,耐熱性に優れた炭素系薄膜が合成できたことがわかった.
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