Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
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Research Abstract |
昨年度製作した,ペーパ摩擦材試料圧縮荷重時の真実接触面積変化と厚さ変化を同時に測定する実験装置において,荷重センサや画像処理系に改良を加え,荷重分解能については0.1N,接触面画像の時間分解能については上限の1/30sまでの測定精度向上を図った.また,光学系の再検討により,潤滑油の有無にかかわらず鮮明な接触面画像が観察可能となった. この実験装置を用いて,ペーパ摩擦材試料がステップ状に変化する一定荷重(実用面圧である1.0MPaに相当)を受けたときの真実接触面積と厚さの時間変化を,潤滑油に浸さない場合(乾)と潤滑油に浸した場合(湿)のそれぞれについて測定し,湿の場合の乾の場合に対する比較より材料内部に含んだ潤滑油の効果を調べた.その結果,荷重負荷直後の0.1s以内の範囲で,厚さ変化に相対的にわずかの遅れを生じていることが確認された.真実接触面積変化については観察位置によるデータのばらつきと時間分解能の不足のため実験の範囲では有為な差が認められず,装置性能と実験条件の見直しが課題として残った. 次に,この実験をモデル化し,粘性液体に浸された有限面積をもつ板状の多孔質弾性体が剛平面間に挟まれステップ状に変化する一定荷重によって圧縮される場合の変形-流動解析を行った.厚さ変化の解析結果は実験における乾湿の相対的な遅れを説明することができた.また,接触面内の液体の圧力分布の時間変化を求め,これと静荷重による予備実験より得た固体接触圧力-真実接触面積率の関係を合わせることで真実接触面積率分布の時間変化を計算した結果,わずかではあるが潤滑油の存在により真実接触面積増加に遅れが生じ,これが厚さ変化の遅れと連動していること,接触面中央部ほど遅れが大きいことが示された.このことによって,圧縮による潤滑油の流動がペーパ摩擦材表面の真実接触挙動に影響を及ぼすメカニズムを示した.
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