Research Abstract |
MR(磁気粘性)流体は,印加磁界によりみかけの粘度を制御できる機能性流体であり,電界により粘度制御できるER流体と比べ大きな力を制御できる.本研究課題では,MR流体を作動流体とした,可動部のない単純構造で高パワーの制御が可能な液圧制御弁(MRバルブ)を提案,試作し,液圧サーボシステムへの応用を試みた.昨年度は,市販のMR流体を作動流体とした2ポートMRバルブを試作し,ベローズ形アクチュエータの位置決め制御に応用した.しかし市販のMR流体は,密度が高い軟鉄の微粒子を分散させるため基底粘度が高く設定されており,粘性圧力損失が大きい問題があった.そこで本年度は,フェライト粒子を用いた基底粘度の低いMR流体を提案,試作するとともに,永久磁石を用いた小形3ポートMRバルブの提案,試作,および特性実験をおこなった. まず,基底粘度が低いMR流体を実現するため,密度が比較的低く,磁化特性が優れているフェライトの微粒子を分散させたMR流体を提案,試作し,特性実験をおこなった.フェライトの種類,粒子径,および粒子含有率を変え界面活性剤により分散安定性が得られた4種類の試作MR流体に対し,昨年度得られた知見に基づき設計,試作した2ポートMRバルブを用いて特性実験をおこない,その静特性および動特性を明らかにするとともに,静特性を記述する数学モデルを構築した. つぎに,永久磁石を利用し小形化を図った3ポートMRバルブを提案し,前述のMR流体の数学モデルを用いたバルブ静特性の理論解析をおこない,バルブサイズを決定するMR流体の評価量を導出した.さらにこの評価量により選定された試作MR流体を作動流体とした3ポートMRバルブを設計,試作し,実験により静特性および動特性を明らかにした.最後に,試作した3ポートMRバルブによりベローズ形アクチュエータを制御する位置制御システムを構築し,ステップ応答実験によりその動作を確認をした.
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