Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
壁乱流からの放射音特性と音源について評価するため、音場と流れ場を分離した低マッハ数流れ場の直接解法によりシミュレーションを行った。壁遠方へ放射する音場の特性は、遠方では離散的でかつ大規模な泡状の音場構造が形成される。壁上に二次元回転渦を単独に配置した場合と周期的に適当な間隔で配置した場合の放射音特性を比較した結果、3次元場と同様の泡状の音場構造が再現され、強い音源の干渉の結果、大規模な音場構造が現われることを明らかにした。これら放射音の特性は低マッハ数固有の問題で、空間的に低波数が優位となる伝播モード特性であることを理論的に説明した。乱流音の発生機構を要素還元化して考えるための出発点として線形統計評価法により壁近傍場で統計的に抽出された渦対を時間発展させた際の放射音の計算を行った。シミュレーションでは、この渦の成長過程の一部しか計算していないが、強い要素渦の発達段階においては、徐々に放射音が強くなるわけではなく、ヘッド部が急成長する際にとくに強い放射音が発生することがわかった。この様子は瞬時の流れ場においても観察され、強い音源構造の動的性質がより詳細に特定された。高マッハ流れ場における音場の基本的な特性を評価するために、超音速溝乱流場の直接数値シミュレーションを行った。従来から理論ならびに経験的にマッハ数が5以下では非圧縮流れ場の乱流構造との違いはないことが指摘されていたが、シミュレーションの結果からも、壁近傍に広がる強い要素渦や、それに付随する大規模ストリーク構造などの微細な乱流構造まで違いのないことが確認された。また、圧縮流れ場を特徴付ける速度場のdilation(膨張・収縮)項による消散はマッハ数が5の場合でさえsolenoidalな消散に比べ極めて小さく、騒音低減を考える場合、微細要素渦の振る舞いに注目して解析、あるいは制御してやればよいことを明らかにした。
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