Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
結晶の成長形には,ファセット状やデンドライト状などいろいろな形態があり,その複雑かつ秩序ある形態の形成機構は,温度・濃度場,形態と過冷度の関係,異方性,非平衡性を考慮し大規模な数値計算(フェーズフィールドモデル,PFM)を行うことで解明されつつある.本研究では,実在物質の結晶成長形態を説明,予測するために,実験的に凝固界面の熱的・組織的過冷度,結晶の成長方向と凝固速度の関係(界面カイネティクス)を精密に計測し,非平衡性・異方性を数値化し,この新しい物性値を利用したPFM計算を行った. 結晶の成長速度を実測するには,移動式,および温度可変式の方向性凝固装置を製作し,界面過冷度が大きなザロール等のファセット凝固を示す物質から,界面過冷度の小さなスクシノニトリル,水等のノンファセット凝固を示す物質まで計測を行った。結果として,単位界面過冷度当りの結晶成長速度として,ザロールでは,<100>方向に5.28μm/s・K,<101>方向に1.80μm/s・Kの値が測定され,水では<0001>方向に71μm/s・K,<1120>方向に380μm/s・Kの値が測定された。 特定の結晶方位に対して実測された成長速度を元に,結晶の対称性と結晶面内の分子数と成長速度の関係を考慮し,方位と成長速度の関係をモデル化し,PFMによる結晶成長シミュレーションを行った。二次元結晶成長シミュレーションの結果,ザロールを模擬したケースでは,実在結晶と同様のファセット凝固が再現され,また,水のc軸を含む面内の結晶成長を模擬したケースでは,A軸方向に優勢に成長が進むファセット状の凝固様式が再現された。c軸に垂直な面内のシミュレーションでは,6回対称性を持つ強度5%の異方性を導入した場合に,実在結晶の特徴を示すシミュレーション結果が得られた。 本研究により,界面カイネティクス情報を何らかの手段により特定することで,PFM等によるシミュレーションで,結晶成長を予測可能であることが示された。
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