Project/Area Number |
11750248
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Electronic materials/Electric materials
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
角田 匡清 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (80250702)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 1999: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 交換磁気異方性 / スピンバルブ / 磁性薄膜 / 磁気トルク / 積層膜 / 極高真空 / 反強磁性 |
Research Abstract |
スピンバルブ型GMR薄膜に不可欠な界面物理事象の一つである、強磁性層/反強磁性層積層膜の交換磁気異方性は、その発現メカニズムが完全に理解されているとは言いがたい状況にある。1956年の現象の発見以来、定性的なモデルとして用いられてきたMeiklejohnのSingle spin model(SSM)による実験結果の説明は十分でなく、現象理解の大きな壁であった。本研究では、磁気トルクロス解析を中心として、積層膜の微細構造と交換磁気異方性との相関について詳細に検討を行い、交換磁気異方性発現のメカニズム解明を図ることを目的とした。 超清浄雰囲気スパッタ法を用いて、反強磁性層厚を変化させたNi-Fe/Mn-Ir積層膜を作製し、その微細構造評価ならびに磁気トルク曲線の印加磁界に対する変化を測定した。X線回折法による構造解析の結果、積層膜構造が設計通りによく制御されていることが判った。積層膜断面像および平面像の電子顕微鏡観察結果からは、積層膜が多結晶構造を有し、膜面に対して強く(111)配向し、膜面内に対してはランダムな配向を有するシートテクスチャであることが判った。磁気トルク曲線の測定結果と、SSMによる計算結果とは、定性的に良く一致するものの、反強磁性層厚が臨界膜厚以下の場合には、高印加磁界下において、回転ヒステリシス損失が、印加磁界依存性を持たず、計算結果との不一致を示した。これは、SSMで仮定している反強磁性層膜全体にわたるマクロな一軸磁気異方性に起因しており、反強磁性粒子の結晶磁気異方性が膜面内にランダムな方向を向いて分散している状態を取り入れたSingle spin ensemble model(SSEM)によって説明が可能であることを明らかとした。SSEMに従えば、磁界中冷却による交換磁気異方性の可逆的方向制御のメカニズムが、薄膜微細構造の変化を伴わずに説明可能であり、経験的に良く知られた実験事実と相容れることが明らかとなった。
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