窒化物半導体による1μm波長帯量子カスケードレーザの基礎研究
Project/Area Number |
11750296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
電子デバイス・機器工学
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
菊池 昭彦 上智大学, 理工学部, 助手 (90266073)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Keywords | 量子カスケードレーザ / ガリウムナイトライド / アルミニウムナイトライド / 量子準位間遷移 / 分子線エピタキシー / 光通信 / 半導体レーザ / 共鳴トンネルダイオード / 量子準位間還移 |
Research Abstract |
本年度は、光通信用波長帯である1.55〜1.3μm波長におけるAlN/GaN量子カスケードレーザを作製するための結晶成長実験を中心に研究を行い、AlN/GaN二重障壁構造に於いて、明瞭な量子効果(負性微分抵抗)を室温で観測するに至った。ここでは分子線エピタキシー法(RF-MBE)を用いてサファイア基板上に直接高品質GaN結晶を成長する技術の開発(1)と、MBE法が苦手とする初期成長を回避して、MBEの本質な特徴である超薄膜ヘテロ構造成長を実証するためのデバイス作製(2,3)を行った。 1.GaNナノコラムによる無歪GaN成長法の開発:サファイア基板上に成長したGaN系材料では、基板結晶とGaNの熱膨張係数の違いによる残留歪が存在する。これはデバイス加工上の障害となり、更に素子特性を劣化させる要因となる。通常、歪の無いGaN結晶を得るためには100μmを超える厚膜GaNの成長を必要とするが、ここでは我々が開発したGaNナノコラムと呼ばれる直径0.1μm以下の柱状GaN結晶をバッファ層として用い、その上にGaNの連続膜を成長する方法を提案した。この手法により、わずか数μmの厚さで、サファイア基板上に歪の無いGaN結晶を得ることに成功した。 2.GaN/AlGaN高電子移動度トランジスタ(HEMT)の作製:MOCVD法で成長した高品質GaN結晶上にRF-MBE法でAlGaN/GaN-HEMT構造を試作した。初期的な実験にもかかわらず、室温における最高移動度は1200cm^2/Vsを超え、最高シートキャリア密度も2.5x10^<13>cm^<-2>と良好であり、高品質なヘテロ界面が形成されていることを示めす結果が得られた。 3.GaN/AlN共鳴トンネルダイオードによる室温負性抵抗の観測:GaNとAlNは2eVという従来の化合物半導体では得られなかった高い伝導体不連続を有することから各種量子効果デバイスへの応用が期待されているが、数原子層厚での膜厚制御と優れた平坦性が要求されるため、作製が難しい。MOCVD法で成長した高品質GaN上に、昨年度報告したAlN多重中間層による転位低減法を用い、AlN/GaN二重障壁トンネルダイオードを成長した。作製したデバイスは室温に於いて明瞭な負性微分抵抗を示した。これは我々の知る限り世界で初めての報告であり、RF-MBEによるカスケードレーザの実現の可能性を強く示唆する結果といえよう。
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Report
(2 results)
Research Products
(33 results)