Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
本研究では,秘密鍵暗号を用いた機密保持通信系の1つであるシャノンの暗号システムを考察の対象とし,情報スペクトル的方法と呼ばれる近年提案された情報理論の新しい視点から解析した.具体的には,無記憶とは限らない広いクラスに属する情報源から生成される情報を暗号化して伝送する状況下において,まず最初に伝送される暗号文を盗聴されても情報が漏れないという安全性の基準を導入した.導入した安全性の基準は,情報スペクトル的な量を用いて記述され,従来の条件つきエントロピーを用いた基準よりもより強い安全性を保証するものである.次に,導入した安全性の基準を満たすような暗号化および復号化が可能となるために必要になる,暗号文のレートおよび鍵のレートの下限を求めることを試みた.情報源が「強逆性」と呼ばれる性質を満たすときには,暗号文のレートと鍵のレートの下限は完全に求まることを示すことができた.この結果により,従来のシャノンの暗号システムに関する符号化定理は,今回の研究で得られた結果の1つの特殊な場合として導かれることがわかった.一方で,情報源が「強逆性」を満たさないときには,符号器はある離散的な乱数を用いて情報源出力をほぼ一様分布にし,その上で暗号化する状況を考えた.導入した安全性の基準を満たすために必要な暗号文のレート,鍵のレートおよび乱数のレートを完全に特徴づけるには到らなかったが,達成可能な3つのレートの内界と外界を求めることはできた.内界と外界が一致しない理由もおよそ見当がついているので,この成果については近日中に発表の機会を持ちたいと思っている. この他の研究成果としては,(1)一般情報源に対する最適な可変長符号の符号語長分布,および可変長乱数生成器の生成系列長の分布が,自己情報量の分布に一致することを証明した,(2)一般化された秘密鍵認証系に関する解析を行い,従来Simmonsの下界として知られる限界式の一般化を行った,ことが挙げられる.これらは一般情報源のもつ性質の特徴付けとして興味深い結果である.
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