Research Abstract |
[1]雑音を実際に電子回路により発生させる場合には,その周波数帯域は有限なものとなる。また,ディジタル回路であるM系列発生器を用いれば,容易に,パルス波形ではあるが,白色雑音を発生させることが可能である。このため,確率共振現象の工学的応用を念頭におき,雑音として,正規分布乱数,およびその2値化されたパルス列による雑音,また,それらの周波数特性を,様々なフィルタにより帯域制限した場合の,確率共振現象に関して,コンピュータシミュレーションにより,非線形システム出力のSN比の変化の検討を行った。非線形システムとしては,容易に,電子回路による実現が可能なシュミットトリガを用いた。入力雑音に正規分布乱数を用いた場合には,周波数帯域の制限が有る無しにかかわらず,非線形システム出力のスペクトルに,入力の周期信号に対応した信号成分は確認できなかった。入力雑音に2値化後のパルス列を用いた場合には,出力中に周期信号成分が確認され,なおかつ,入力雑音を高域フィルタにより帯域制限をした後に2値化した雑音を用いた方が,SN比の最大値は大きくなることが分かった。(帯域制限をした2値化雑音を用いた確率共振現象に関する研究、電子情報通信学会技術研究報告,Vol.100,no.608,pp.57-62) [2]確率共振現象を工学的に応用する場合に必要となる,非線形回路出力スペクトルの周波数特性を利用した,入力雑音の実効値の自動最適化回路の開発を,電子回路の試作実験により引き続き行う。
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