Budget Amount *help |
¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
伝達特性の測定を必要としない手法として,伝達特性の測定を必要としない残響抑圧手法を提案した.残響時間情報のみで残響を抑圧するパワーエンベロープ逆フィルタ手法である.残響音は,スペクトル歪みだけではなく,波形の包絡線に影響を与える.そこでMTF(Modulation Transfer Function)の理論に基づき音源信号と伝達系をモデル化し,信号のパワーエンベロープに着目した音源信号回復手法を開拓した.観測された残響波形のパワーエンベロープ(2乗包絡線)は,原波形と室内インパルス応答の各パワーエンベロープのたたみ込みによって表わされることを数学モデルも用いて証明し,その逆問題を近似解導出法を提案した.この包絡線復元処理によって伝達系を測定することなく観測残響信号から音源信号を復元する可能性を音声信号によって実証した.特にコンサートホールのような音場のインパルス応答の残響時間が長く,また指数的に減衰する場合には,高い改善効果があることが確認された. また,帯域分割した残響信号に本手法を拡張し,伝達系を測定することなく室内残響の影響を軽減する可能性を定量的に評価した.残響音声に対し,分割数を2のベキ乗個で分割処理を行い,帯域毎にパワーエンベロープ逆フィルタ処理を行った.その結果,一括処理に比べ32分割処理によるエンベロープの方がより詳細に回復していることを示した.分割数を増し,狭域処理を行うことで音声の帯域毎の詳細な包絡線がより回復され,音声の周波数変動に伴う残響音声のスペクトル歪みが軽減されることが明らかとなった.このように,本手法を帯域分割した残響音声へ応用し,帯域毎のパワーエンベロープを回復することで,広帯域処理に比べ包絡線情報がより明確な回復音声をが得られることを実音声を用いた回復実験より明らかにした.
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