Research Abstract |
本研究は居住者のライフスタイルの見直しにより,どの程度,住宅が与える環境負荷への低減が見込めるかを検討することを目的とし,(1)長野県内の断熱気密住宅を対象としたアンケート調査・実測調査を通じて,住宅のエネルギー消費構造ならびに居住者の意識を把握する,(2)居住者のライフスタイルが環境負荷へどの程度影響を与えるかについて数値計算により検討する,ことを検討事項として挙げた。 (1)については今年度に実施した追加調査により,100件の住宅に関する環境データを収集することができた。得られたデータを基にして断熱気密住宅のエネルギー消費構造について,新に多変量解析による要因分析を実施した結果,設定室温がエネルギー消費量の大小に寄与していることが明らかとなった。この知見は,前年度の検討結果を裏付けることとなるとともに,実際の居住環境におけるデータをもとにした結果であるためたいへん興味深い。 次に,(2)においては数値計算により,どの程度の環境負荷底減が可能となるかについて検討を行い,単に住宅のシェルター性能のみを高めるだけでは顕著な効果は認められず,冬期であれば暖房設定温度を下げるなどの,住まい手側の余分なエネルギーを使わない配慮が求められることが示された。しかし,住宅のエネルギー消費を化石エネルギーのみに頼る限りは,我が国に求められている環境負荷低減につながらないため,自然エネルギー利用を積極的に進めることが望ましい。
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