Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2000: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
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Research Abstract |
金属元素M(45種類)または侵入型非金属不純物元素I(11種)をMg格子の中心,電解質イオンE(2種)を第一近接原子に配したMg-hcpクラスター(M or I・E・Mg18)を作成し、分子軌道計算を行って添加元素と母金属Mgとの間の化学結合の状態を調査した。合金元素を添加したときの差電子密度分布によると、Mgよりも電子数が多い元素、例えばAl,Zn,Fe,Mnなどを添加すると、その周りに電子密度の高い領域が確認された。ここで、Mgに対して大きな固溶限を持つAl,Znでは、それらとMg原子の間の電子分布はわずかな変化を示すのに対して、Mgにほとんど固溶しないFe,Mnでは、それらとMgの部分状態密度に大きな変化がある。Mgと合金元素の間の電気陰性度の差に基づく電荷移行の度合いを示すパラメーターΔΦ^^-より、La,Ceなどの希土類元素を添加すると、Mgとの大きな化学結合状態が得られることがわかった。この知見は、Mgの耐食性の向上のみならず、硬さや強度などの機械的性質の向上を目的とした合金設計の指針にもなる。 Mgクラスターの中心に侵入型非金属不純物元素(H,B,C,N,O)を置換した分子軌道計算によると、Mgと不純物元素の共有結合の大きさを表す結合次数はBが最も大きく、次いでC,N,O,Hの順になった。差電子密度分布から、BやCのような不純物元素は第一および第二近接Mg原子いずれとも強い結合を形成していることがわかった。また、各不純物元素のイオン性はHが最もイオン結合的であり、次いでO,N,C,Bの順となった。 電解質イオン(Na,Cl)の影響は、Mgと金属元素の結合状態から考察した。NaイオンはMgと金属元素の結合次数を若干高めるが、一方のClイオンはそれを大幅に減ずることが示された。このことは、これまでの実験で明らかにされている塩素の腐食促進効果を裏付けるものである。なお、電解質イオンと侵入型非金属不純物元素の相互作用は、Mgと金属元素のそれに比べて小さく、全体の腐食系に及ぼす影響は無視できる程度である。 Mgよりも電子数が多い元素を含むMg2元系合金について、3%NaCl水溶液による塩水噴霧腐食試験を行った。その結果、Mgと合金元素の電荷移行の度合いを示すパラメーターΔΦ^^-が大きいLaなどの希土類元素を添加した合金において、腐食重量がより少ない良好な腐食特性を示すことがわかった。
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