Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,300,000)
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Research Abstract |
金属材料の融点に比較して低温な超音速ガス流れの中に材料粉末を投入し,高速度で基材に衝突させて皮膜を作製するロシアで発明された新しい溶射プロセス「低温超高速ガス溶射法(Cold Spray)」について数値シミュレーションと装置を試作して基礎的検討を行った。 その結果,国内では初めてこの溶射プロセスに取り組み,かつ皮膜を作製できた。また,この装置の超音速ガスジェットを利用してアーク溶射法の改良を試みた。 研究は,数値シミュレーションプログラムを作成し,種々の溶射条件およびノズルの形状並びに溶射材料粒子について検討を行った。そして,その結果に基づき装置を製作し,溶射材料に比較的成膜が容易とされている銅粒子を用い,窒素を作動ガスとして溶射を行った。 <主な結果> (1)圧縮性流体力学の知見によりCold Spray用ラバルノズルの設計が可能であることが確認できた。 (2)作成した数値シミュレーション結果より,溶射粒子の挙動に及ぼすガスの圧力,温度,種類およびノズルの形状並びに溶射材料粒子(材料,粒径)の影響が明らかになった。 (3)溶射実験にて,ガスの温度・圧力が低い場合,銅粒子の衝突速度が低く,粒子が基材(鋼板)をエロージョンしてしまうが,それらの条件を上げていくと皮膜が形成され,その付着量も増加した。 (4)このラバルノズルは小径長穴で加工が難しいが,数値シミュレーションによる検討で,製作が容易な形状のノズルを提案し,その効果を確認した。 (5)この溶射法による皮膜は,原料粉末の特性が熱変質によって劣化することなく従来の溶射法より優れていることが確認でき,また基材側がち密で硬く,表面側は気孔が多いことがわかった。 (6)超音速ガスジェットを利用することで,アーク溶射皮膜は微細な粒子により構成され,表面粗さが改善された。 種々の溶射条件が皮膜特性に及ぼす影響やそのデータの蓄積,各種溶射材料の適用などの検討は今後の課題である。
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