Research Abstract |
1873Kで溶融したFe-10%Ni合金に所定量のFeS小片を添加して撹拌し,さらにFe-50%M(M=Mn,Ti)合金を添加した。直ちに撹拌してFe-10%Ni合金融体を脱酸・脱硫した。これをるつぼごと水中急冷することにより,脱酸および脱硫反応生成物が分散したメタル試料を作成した。また,Fe-10%Ni合金融体を脱酸・脱硫した後にメタル融体を所定の冷却速度で一方向凝固させ,るつぼごと水中急冷することによっても,メタル試料を作成した。 得られたメタル試料を切断し,断面を鏡面研磨した後に,研磨面上の一次および二次介在物の組成,大きさをX線マイクロアナライザーおよび光学顕微鏡により求めた。また,メタル試料に直径約20μmのレーザー光を走査しながら照射して,メタルマトリックスおよび介在物を蒸発させ,その蒸気を高流量のアルゴンキャリアガスにより高周波誘導結合プラズマ部に導入してイオン化させた。生成したイオン量は四重極型質量分析装置により測定され,0.01〜0.1秒毎の積分値が得られた。各照射時間における積分値と。レーザー光の走査距離との関係を図示することにより,介在物部分のイオン量は鋭いピークとなって現れた。Mn(またはTi)とSについてのピークの面積値から,介在物の組成および粒径を求めた。このようにしてレーザー励起-ICP質量分析装置を用いて得られた介在物の組成および粒径を,X線マイクロアナライザーおよび光学顕微鏡による結果と比較した。その結果,レーザー励起-ICP質量分析装置による介在物の組成および粒径の迅速測定が可能であることがわかった。また,同時にメタル中の溶質成分の定量も可能であった。 MnS(またはTiS)二次介在物周辺のメタル中Mn(またはTi)およびS濃度を測定し,MnS(またはTiS)析出のための溶解度積を評価した。
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