Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
前年度の研究では、アンチモン(V)テトラフェニルポルフィリン錯体の軸配位子として可視光補集機能を持つ分子を導入した新規ポルフィリン錯体の合成とその光物性について検討した結果、可視光補集分子として500nmに極大吸収波長を持つボラン-ジピリン錯体を軸配位子として導入したアンチモンポルフィリン錯体の合成に成功し、導入されたボラン-ジピリン錯体はポルフィリン環に対して十分な可視光エネルギー供与分子となり得ることがわかり、軸配位方向へ制御された光エネルギー補集伝達機能を持つポルフィリン複合分子系の構築の足がかりとなる成果が得られた。今回の研究では、片側の軸配位子としてボラン-ジピリン錯体を導入し、もう片側の軸配位子として電子供与性をもつ分子を導入した複合分子系の構築に成功し、光補集機能をもつ軸配位子からポルフィリン環へエネルギー移動した後、さらに他の軸配位子から電子移動が誘起される、軸方向へのエネルギーフロー系の開発を見出した。またさらに合成したポルフィリン錯体が有機塩素化合物に対する光触媒分解作用をもたらすことも明らかになり、これらの成果を2つの特許として出願できる成果を得た。1.出願人 保田昌秀・白上努・信原一敬・近藤徹題名 アンチモンポルフィリン光触媒 特許出願番号 特願 2000-167874 2000年6月2.出願人 保田昌秀・白上努・信原一敬・笛田佳之題名 光触媒装置 特許出願番号 特願 2000-1335998 2000年11月