Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
ω-ヒドロキシカルボン酸HO[CH_2CH_2O(1,2-C_6H_4O)]_4CH_2(1,2-C_6H_4)COOH,1は液膜を介し、非環状の天然イオノホアに匹敵する高い選択性でNa^+に対しK^+,Rb^+の輸送を行う。本年度は1の末端基を修飾した誘導体を合成し、イオン輸送能とアルカリ金属塩の立体構造との関連を調べた。カルボン酸の置換位置をオルト位からメタ位(HO[CH_2CH_2O(1,2-C_6H_4O)]_4CH_2(1,3-C_6H_4)COOH,2)、パラ位(HO[CH_2CH_2O(1,2-C_6H_4O)]_4CH_2(1,4-C_6H_4)COOH,3)とするにつれて、イオン輸送量は低下した。ヒドロキシ基をメトキシ基にし、分子内水素結合による擬環状構造を形成できないようにした誘導体(CH_3O[CH_2CH_2O(1,2-C_6H_4O)]_4CH_2(1,2-C_6H_4)COOH,4)は、1と同程度のイオン輸送総量を示したが、Na^+に対するK^+選択性が低下した。ヒドロシキ基を2つ持つ誘導体(HO[CH_2CH(OH)CH_2O(1,2-C_6H_4O)]_4CH_2(1,2-C_6H_4)COOH,5)は1と同程度の高いK^+選択性を示した。X線結晶解析とNMRによる構造解析から、5のK塩は分子内水内水素結合を2つ形成してカチオンを包み込み、脂溶性の錯体を形成していることがわかった。また昨年構造解析を行った1より主鎖の短い誘導体の塩、HO[CH_2CH_2O(1,2-C_6H_4O)]_3CH_2(1,2-C_6H_4)COORbの分子量測定から、結晶中で見られたアニオン:Rb^+=2:2の構造が溶液中で単量体に変化することがわかった。以上のことからカチオンをとりこみエーテル鎖が巻きつくのに2-カルボキシベンジロキシ部分が有利な構造であり、1の主鎖の長さがK^+,Rb^+をとりこんで配位子:カチオン=1:1の擬環状構造を形成するのに適していること、そしてこのことが高いイオン選択性に結びついていることが確認できた。またトルイル酸部分にニトロ基を導入した誘導体を合成したところ、そのK塩が光照射によりK^+を放出することを確認した。
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