Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
研磨剤として大量に使用されてい金属炭化物、特に今回は炭化ケイ素を対象とし、炭化ケイ素粒子の浮選特性を界面化学的見地から把握することを目的に、陰イオン性捕収剤を添加した系において溶液pHを種々変化させて浮選基礎試験を行った。同時に、使用した捕収剤の粒子表面への吸着特性について検討を行い、その吸着挙動についてSurface Complexation Model(SCM)を用いて解析を行った。まず、炭化ケイ素粒子の浮選について、陰イオン捕手剤の1-ドデカンスルホン酸ナトリウム(NaDS)を5×10^<-5>M存在下で浮選を行ったところ、pH6以下の酸性になるにしたがい回収率は著しく増加した。本実験で用いた炭化ケイ素の等電点がpH5.6付近であることから、NaDSの静電的な吸着が粒子表面の疎水性化に寄与しているものと考察した。次いで、炭化ケイ素表面へのNaDSの吸着量を、浮選が顕著に認められたpH2.5の一定条件下で、NaDS平衡濃度の関数として求めた。3×10^<-4>M以上にNaDS濃度が増加すると吸着量は著しく増加した。この現象は粒子表面におけるヘミミセルの形成であることを指摘した。最後に、本吸着等温線の低濃度領域の直線から、粒子表面への捕収剤の反応性をSCMを用いて検討を行った。得られたNaDS-炭化ケイ素間の表面反応定数と、従来の研究で得られた炭化ケイ素表面水酸基の酸解離定数から表面化学種濃度分布図を作成し、NaDSの浮選最適pH領域の推定の指針になることを示唆した。
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