Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,700,000 (Direct Cost: ¥1,700,000)
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Research Abstract |
カイコの絹糸腺組織はエクダイソンと幼若ホルモンの影響によって,幼虫脱皮には見かけ上その形態を維持するが,蛹変態時では組織全体がアポトーシスにより崩壊し,消失する.そこで,通常4眠蚕(対照区)の4齢0日から蛹1日までの後部絹糸腺組織タンパク質を昨年度に確立した分画法を用いて可溶化し,SDS-PAGEによって経時的に調査した,さらに,4齢脱皮直後のカイコに前胸腺からのエクダイソンの分泌を抑えるはたらきをもつイミダゾール化合物,KK-42を塗布することによって早熟3眠蚕(KK-42区)を作成し,その処理直後から蛹1日までの後部絹糸腺組織タンパク質を調査し,得られた両区の結果を比較検討することにより,昆虫ホルモンのカイコ後部絹糸腺組織への影響について考察した. (1)後部絹糸腺タンパク質は各画分での電気泳動像はそれぞれ異なっており,時期特異的な変化が多数明らかとなった. (2)対照区の膜画分をSDS β-mercaptoethanolによって可溶化した画分では,体液中のエクダイソン濃度が高い時期に特異的に消失する分子量約25kDaバンドと出現する分子量32kDaバンドが見出された.この2種類のバンドのエクダイソン濃度が高いKK-42区蛹変態期における変化は対照区と同様であった.また,カテプシンL様システインプロテアーゼ遺伝子の発現をノーザン解析のよって調べたが,32kDaタンパク質の変化と類似していた.以上の変化は,体液中のエクダイソン濃度の変動に対応しているので,エクダイソンの影響を受けていると考えられる. (3)膜タンパク質のDeoxycholic acid画分において,対照区で5齢0日から吐糸開始後3日まで認められた分子量30kDaバンドは,KK-42区では処理後5日から吐糸開始後2日まで認められた.このタンパク質の出現時期は両区ともに4齢脱皮から数えてほぼ同時期であり,KK-42の作用機作からすると,エクダイソンの影響を受けていなく,むしろ幼若ホルモンの影響を受けているものと考えられる. (4)対照区の4齢脱皮期並びに5齢0日に特異的に発現する遺伝子の単離をサブトラクション法で試み,数種の遺伝子を得た.現在,詳細について検討している. (5)両区のおけるエクダイソンレセプターA,B1アイソフォームの発現について調査した.
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