Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
硫酸化は、生体内において広く生体外異物や薬物の解毒代謝として重要な機能を持つ。近年、野生動物の生殖及び生態上の変異、ヒトにおける精子数の減少などについて報告され、「内分泌かく乱物質」(環境ホルモン)の影響が指摘されるようになってきた。このような背景から、硫酸化は「内分泌かく乱物質」の生体内代謝機構に何らかの役割を持つ可能性が考えられる。そこでヒト硫酸転移酵素および培養細胞を用いて、「内分泌かく乱物質」の硫酸化による生体内代謝の重要性を検討した。7種のヒト硫酸転移酵素を使用し、基質として「内分泌かく乱物質」候補物質であるビスフェノールA、アルキルフェノール類、合成エストロゲンなどを使用した。その結果、これらの「内分泌かく乱物質」が種々の硫酸転移酵素により硫酸化されることが判明した。マウス新規硫酸転移酵素をクローニングし大腸菌において発現し、リコンビナント酵素を用いて諸性質の検討を行った。その結果、本酵素はSULT1C2mouであることがアミノ酸配列によるホモロジー解析の結果判明した。本酵素はp-ニトロフェノール、トリヨードチロニン、ビスフェノールAを硫酸化した。現在、2種類の新規ヒドロキシステロイド硫酸転移酵素のクローニングを行っている。これらの結果より、マウスにおいて少なくとも14種の異なる遺伝子によりコードされた硫酸転移酵素が存在することが明らかとなり、大きな硫酸転移酵素遺伝子ファミリーを形成し、多様な機能を持つことが明らかとなった。
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