Project/Area Number |
11760125
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
林産学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 雅文 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (20263155)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 木材 / 横圧縮変形 / 変形回復 / 固定 / 含水率 / 膨潤 / 軟化 / 温度 / 圧縮 / 水分 / 熱 / アセチル化 / 固定化 |
Research Abstract |
変形固定化の機構 木材に与えられた大変形の回復を抑制するために必要な機構として、(1)架橋の形成、(2)回復力の除去、(3)軟化の阻止の3通りを提案した。本研究では、(3)の提案を確認するため、水分と熱の作用による圧縮変形の回復と木材成分の軟化度(木材成分の膨潤および温度による影響)の関係を調べた。 変形回復に及ぼす温度の影響 変形回復と温度による木材成分の軟化との関係を知るため、飽水試験片を用いて、変形時の温度と回復時の温度との関係を調べた。圧縮変形の回復には、水素結合の切断が不可欠であり、乾燥状態では温度によらず変形は全く回復しなかった。20、40、60、80、100℃で圧縮したセット材に0℃の水を注入した時の回復度は、81、78、73、61、46%であった。その後、温度の上昇に従って回復度は増加し、回復処理温度が変形時の温度になると、回復度は85-95%を示し、変形はほぼ完全に回復した。 変形回復に及ぼす水分の影響 変形回復と含水率すなわち木材成分の膨潤による軟化との関係を知るため、アセチル化処理した試験片を用いて、膨潤率の違いによる変形回復を調べた。ここで、膨潤剤として、水とアセトンを用いたが、アセチル化度(処理による重量増加率)が大きい程、水分による軟化の程度が減少し、逆に、アセトンによる軟化の程度は大きくなった。アセチル化処理した圧縮セット材の吸水による回復は、アセチル含量が増加するに従って減少した。それに対し、アセトン注入によるそれは増加した。 結論 以上の結果から、水素結合が切断された後の変形の回復は、木材成分の膨潤と加熱による軟化の程度に従うこと、また、変形時の軟化状態が再現されると、変形はほぼ完全に回復することが分かった。したがって、水素結合の切断あるいは木材成分の軟化を阻止することによって、変形の回復は抑制できると判断された。
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