Research Abstract |
(1)カダヤシ,モクズガニ,マルタニシを供試個体とし,感電反応の誘発における個体サイズ,水温の影響について調べた。<サイズの影響>感電反応を引き起こす刺激電圧閾値には,個体サイズによる有意な変化は見られなかった。電界内の個体の向きによる電圧閾値には有意差が認められ,陰極に吻端(中枢)を向ける場合で閾値は最下点を示した。<水温の影響>水温16-23℃,26-28℃の両条件での感電反応閾値には有意な差は見られなかった。 (2)供試魚にカダヤシを用い電気刺激にともなう運動を1/400秒間隔で撮影分析した結果,刺激後の運動を3過程に分けることができ,当初発現する陽極・陰極での筋収縮は電気刺激にともなう強制収縮であり,後の陽極側の収縮が自発運動であることが示された。最終的に引き起こされる自発運動でも刺激後10ms以内に発現したことにより,電気刺激に対する反応行動は,単純な神経回路を介する反射運動であること,魚体運動解発の鍵が陰極で生じる強制的筋収縮であることが強く示唆された。 (3)電気刺激により発生する個体への損傷は,高電圧(電流)刺激により,カダヤシで鰓の充血,モクズガニで鋏や脚の脱落,マルタニシで急激な収縮によって貝殻と蓋に触覚をはさみ,切断してしまう,等の事例が観察された。
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