Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本研究では,近年中国の各地で取り組まれている農業産業化のコンセプト,成立要因,農業・農村経済へのインパクト等について整理・分析を行った。中国における農業産業化は1)農業の市場化・商業化,2)農産物生産・加工・流通の垂直的調整,3)農業の地域特化という三つの側面の変化から捉えられ,農産物の生産・加工・流通の垂直的調整を図る農業経営の垂直的組織化であると規定できる。その成立要因は農業・フードシステムをとりまく制度的環境および経済条件の変化に求められる。具体的には,第1に食生活の高級化・多様化による畜産物,果樹・野菜等園芸作物,加工食品の消費の増大,外食産業の成長,労働集約的園芸作物及び畜産物の輸出拡大等の農産物需要の変化に対応する垂直的調整の要請,第2に市場経済化のなかでの市場の不完全性および情報の非対称性に対応する農産物マーケティングの組織的革新の要請があげられる。山東省諸城市,高密市,寿光市,安徽省利辛県,河北省館陶県,臨〓県の事例調査に基づき,農産物需要の変化や流通の市場化等の制度的環境および経済条件の変化に対応するため,アグリビジネス企業および生産農家が垂直的組織化を選択したことが確認された。したがって,中国では農業産業化を不完全市場および情報の制約に対応する制度変化として捉える視点がほとんどであるのに対して,本研究では,農業産業化はアグリビジネス企業および生産農家が農産物需要の変化や流通の市場化等の制度的環境および経済条件の変化に対応した結果であることを解明した。また,アグリビジネス企業と生産農家のモラル・ハザード対応のために行政仲介を導入しているケースが多いが,アグリビジネス企業と生産農家との間に仲介組織を組み込むことが必要され、仲介組織としては生産者組織を導入すべきであり、生産者の水平的組織化の政策的支援が要請されることを解明した。
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