Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
|
Research Abstract |
これまでに我々は,妊娠ヒツジの慢性実験系を用いて,脳室周囲白質軟化(PVL)に類似した病変を誘発する比較的再現性の高い実験系を確立している.本年度は,同一の妊娠胎齢でほぼ同一の負荷を与えたにも関わらず,病変が形成されない症例があることに着目し,病変形成群と病変非形成群間の脳重を比較するとともに,ミエリン塩基性蛋白(MBP)に対する免疫染色を行い,両群間の大脳白質の成熟度の差について検討した.また,神経毒性が知られている誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)およびグルタミン酸の病変への関与の有無についても併せて免疫組織学的に検討した. その結果,脱血負荷病変形成群(A群:n=6)の脳重は38.1±4.8gであったのに対し,脱血負荷病変非形成群(B群:n=4)の脳重は46.3±3.2gと有為に重かった.本結果は,病変形成の有無が脳重,即ち脳の成熟度に依存していることを示唆していると考えられた.そこで,白質の成熟度を類推するためにMBPによる免疫染色を行った結果,側脳室周囲領域でのMBP陽性線維(軸索)はA群に比してB群でより多い傾向にあり,上記仮説を概ね裏付ける結果が得られた. また,側脳室周囲で観察されたミクログリア/マクロファージ結節,凝固壊死,および軸索腫大からなるPVL病巣は,iNOSおよびグルタミン酸に対する特異抗体に弱陽性〜陽性を示した.グルタミン酸合成酵素については,星状膠細胞(特に皮質)での発現が確認されたが,その染色性(分布)に対照群との明らかな差は認められなかった.これらのことから,iNOSおよびグルタミン酸がPVL病変に関与していることは示されたが,原因として関与しているのか,結果として発現しているのかは,特定するには至らなかった.
|