Budget Amount *help |
¥2,000,000 (Direct Cost: ¥2,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥100,000 (Direct Cost: ¥100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
|
Research Abstract |
1.暑熱環境下(室温30℃,相対湿度40%)の軽度に温熱性発汗が見られる状態で味覚刺激(タバスコを1分間舌尖に載せる),精神刺激(暗算),皮膚圧迫(一側の腋窩や肩),星状神経節ブロックが前額,頬部,口唇上方部(以下,口唇部と略す)の発汗と皮膚血流に及ぼす効果を検討した。 2.タバスコと暗算は前額,口唇部の発汗を誘発したが,とくにタバスコは前額にくらべて口唇部の発汗を著明に促進したのに対して,暗算は前額と口唇部の発汗を同程度に促進した。皮膚圧迫は,前額と口唇部の自然発汗を抑制したが,味覚刺激による前額と口唇部の発汗も抑制した。タバスコを舌の左端または右端に載せたとき誘発される発汗量に左右差は生じなかった。 3.一側の星状神経節を麻酔薬でブロックしたとき,ブロック側の前額,頬部,口唇部では自然発汗は完全に消失し,暗算によっても発汗は全く誘発されなかった。このときタバスコは3部位とも発汗を誘発しなかった。 4.タバスコの皮膚血流への効果は明らかでない場合もあったが,一般的にはタバスコは前額と口唇部の皮膚血流を促進し,頬部の血流を抑制する傾向を認めた。さらに,前額と口唇部ではタバスコにより皮膚血流量が増加するときは発汗応答が大きくなる傾向があり,また頬部でタバスコにより皮膚血流が減少するとき発汗はつねに欠如した。 5.味覚刺激は味覚性発汗として口唇周辺部に反射性に発汗を起こすが,同時におそらく侵害刺激として全身的な発汗も誘発すること,味覚性発汗の遠心線維は温熱性発汗の遠心線維と同様に,脊髄中を下行し頸部交感神経を上行して顔面に至る経路を通ることが明らかとなった。 6.味覚刺激は一次的には顔面の皮膚血管収縮神経の活動を促進することが示唆された。この血管収縮による血流減少は,発汗神経活動にともなう血管拡張によって相殺されるため,味覚刺激による発汗活動が低い頬部では血流減少が,発汗活動が高い前額や口唇周辺部では血流増加が起こると説明された。
|