Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
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Research Abstract |
本年度は前年度にp53遺伝子の点突然変異、3p,9p,17p領域のマイクロサテライト不安定性を検索した喫煙歴の明らかな40例の原爆被爆者肺癌について、DNA量のploidy pattern、BUB1領域のマイクロサテライトの不安定性と、BUB1遺伝子の点突然変異の有無を検索した。その結果、BUB1領域のマイクロサテライト(D2S293,D2S2269,D2S1896,BUB18CA,BUB19CA)の不安定を示す症例は2例(5%)であり、低率であった。またBUB1遺伝子の点突然変異を持つ例は皆無であった。またBUB1領域の不安定性を示す症例と、p53遺伝子の点突然変異の有無、3p,9p,17p領域のマイクロサテライト不安定性を示す症例との間には明らかな相関を見いだせなかった。また、被爆線量との間にも明らかな相関はなく、喫煙指数との間にも相関はなかった。さらにこれら40症例についてDNA量のploidy patternをみたが、aneuploidyを示す症例と、BUB1領域のマイクロサテライトの不安定性を示す症例間には明らかな相関を認めなかった。以上の結果より、原爆被爆者肺癌では、その発癌にBUB1遺伝子の異常の関与は低率であることが示唆された。 今後、さらに検討症例数を増やして検討する。また本研究で用いた被爆症例群は被爆線量が比較的低線量であり、今後は高線量被爆者に発生した症例を加えて検討を行う。またBUB1以外のM期チェックポイントに関わるとされる種々の遺伝子(MAD1,2,3,BUB2,3など)やG2期チェックポイントに関わる因子の異常を検索に加え、放射線発癌のメカニズムを探る。
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