ヒト慢性肝疾患の進展機序へのテロメラーゼ逆転写酵素の関与に関する分子病理学的解析
Project/Area Number |
11770097
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Research Category |
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Field |
Human pathology
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
伊倉 義弘 大阪市立大学, 医学部, 講師 (00240953)
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Project Period (FY) |
1999 – 2000
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2000)
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Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | テロメア長 / テロメラーゼ逆転写酵素 / 血管作動性物質 / 肝組織傷害 / 肝硬変 / テロメラーゼ / In situハイブリダイゼーション / RNAプローブ / RNA定量 / 定量PCR法 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、ヒト慢性肝疾患の進展各段階におけるテロメラーゼ逆転写酵素の病態への関与を明らかにすべく、その前段階として、傷害肝でのテロメア長の変化・推移と、肝傷害-テロメア長短縮の機序に重要と考えられた血管作動性物質に焦点を絞り、本年度の研究を進めた。 テロメラーゼ逆転写酵素の本来の役割は、生理的に強い増殖・分裂活性をもつ細胞の染色体末端テロメア構造の延長である。炎症等で繰返し傷害を受けた細胞が、その修復に伴い短縮したテロメア長を回復すべくテロメラーゼ逆転写酵素が活性化し、これが慢性炎症を基盤とした発癌に関わっている可能性が考えられる。本酵素の活性化を誘導するテロメア短縮、その閾値の究明の為、組織を用いてのテロメア長測定を試みた。病理検体由来のDNAは微量かつ断片化したものがほとんどで、一般的なSouthern blotによるテロメア長測定は不可能である。この問題の解消に、Slot blot法を応用したテロメア長測定法を確立した(研究発表1、3)。これを肝組織に応用してテロメア長測定を行い、現在、テロメア短縮とテロメラーゼ逆転写酵素発現との関連性につき検討中である。 上述の如き肝細胞のテロメア短縮を誘導する肝傷害機序の1つとして、血管作動性物質の不均衡による微小循環の障害が考えられる。血管作動性物質はさらに傷害後の組織修復・増殖にも寄与すると想定されており、傷害・修復の繰返しによるテロメア短縮に重要な要因である可能性が高い。血管作動性物質のうち、血管収縮性に作用するエンドセリン系(研究発表2,4)およびアンジオテンシン系(研究発表5)につき検討し、肝傷害・修復機序における重要性を認識しうる結果が得られたので、それぞれ発表した。 以上の所見を基に、今後更なる検討を加え、慢性組織傷害を基盤にした肝発癌機序へのテロメラーゼ逆転写酵素の関与について明らかにしていく予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(8 results)