Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 1999: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
MRL/1pr等の自己免疫病自然発症モデルマウスでは、正常血清成分として肝で産生される内在性レトロウイルスenv遺伝子産物gp70に対して自己抗体が産生され、加齢と共に流血中にgp70-抗gp70免疫複合体が増加することが知られている。 我々は無処置のMRL/1prマウスから多数の抗gp70自己抗体産生性ハイブリドーマクローンを樹立し、これらの半数以上が正常同系(BALB/c×MRL)F_1マウスへの移入により糸球体病変を誘発することを発見している。 このメカニズムを詳しく解析するため、正常同系(BALB/c×MRL)F_1マウスへ精製抗gp70自己抗体(いずれもIgG3)を静注することによりgp70の沈着による糸球体腎炎モデルを確立した。精製抗gp70自己抗体(クローン12H5.1c)投与群での糸球体病変の程度はNZW≧正常同系>>C57BL/6であり、血中gp70発現量と相関していた(Tabata N. et al.,J.Virol.,74:4116-26,2000)。 一方、この過程において、IgG2a産生性の抗gp70自己抗体産生性ハイブリドーマクローン36D1.1aを正常同系(BALB/c×MRL)F_1マウスへ移入することにより血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)様の病変を来すことを見い出した。すなわち微小血管内でのフィブリン形成を伴わない微小血栓形成、血小板減少、および貧血が認められた。また、フローサイトメトリー解析では抗gp70自己抗体の血小板表面への結合が確認された(Hashimoto K. et al.,Clin.Exp.Immunol.,119:47-56,2000;Miyazawa M. et al.,Int.J.Cardiol.,75:S65-S73,2000)。 現在、流血中のgp70-抗gp70免疫複合体をgp70量を指標として測定するシステムを確立し、既に確立した腎炎モデルを経時的に解析することにより、免疫複合体の形成過程から糸球体腎炎病変の発症に至るメカニズムを解明しつつある。さらに、精製抗gp70自己抗体の2種類の同時静注では糸球体腎炎が増悪し、一部の個体で肺動脈に肉芽腫性血管炎を発見しており、新たな血管炎モデルを確立しつつある。
|