Research Project
Grant-in-Aid for Encouragement of Young Scientists (A)
劇症肝炎はほとんどすべての肝細胞が急激な壊死を起こし、肝不全に陥る予後不良の疾患である。劇症肝炎亜急性型は肝細胞死とともに肝再生も不良であると考えられている。近年、劇症肝炎における肝細胞死の機構としてアポトーシス機構が注目されている。また肝細胞の再生機構に、Hepatocyte growth factor(HGF)やTGF-βなど肝細胞増殖因子、増殖抑制因子が関与すると考えられる。そこで、まず劇症肝炎患者におけるこれらの増殖関連因子および再生のマーカーとしてはalfa fetoproteinを検討したところ、肝細胞の広範な細胞死あるいは肝細胞機能不全の結果、これらの因子の肝細胞へのシグナル伝達あるいは代謝が阻害されているために再生が阻害されていることが示唆された。さらに、肝細胞死の機構を解析するために、マウスモデルを用いて劇症肝炎におけるアポトーシス機構を検討した。その結果、抗FAS抗体を4μg投与することで急性肝不全マウスモデルを作成し得ること、あらかじめ少量(2μg)の抗FAS抗体を投与した場合、その後4μg投与しても、急性肝不全が起こらないことを確認した。これらのマウスのアポトーシスシグナルの伝達を解明するために、Caspase 8およびCaspase 3活性を蛍光ラベルした基質を用いて酵素活性を測定したところ、上流のCaspase 8活性は同程度にみられるが下流のCaspase 3活性は低下しており、ミトコンドリアを介するアポトーシス系などからの抑制シグナルが存在することを示唆する結果が得られた。今後、このアポトーシス抑制機序の解明を進めていく予定である。
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